瀬田・田中訳の集大成
黒の乗手の追跡から、辛くも逃れたフロドが目を覚ましたところは、「裂け谷」のエルロンドの館。翌朝、モルドールに抵抗する種族――魔法使い、エルフ、人間、ドワーフ、ホビット――の代表が参加する会議がエルロンドの主催で開かれ、指輪をどのように扱うかについて話し合われた。さて、その決定は……
J・R・R・トールキン 作
/ 瀬田貞二 訳
/ 田中明子 訳
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著者プロフィール
J・R・R・トールキン
1892~1973年。南アフリカのブルームフォンテンに生まれ、3歳のとき、イギリスに移住。オックスフォード大学卒業。第一次世界大戦に従軍後、1925年からオックスフォード大学教授。中世の英語学と文学を中心に講じた。『指輪物語』は、20世紀最高のファンタジーとされる。これに先立つ物語として『ホビットの冒険』『シルマリルの物語』『ベレンとルーシエン』があるほか、児童向けの作品に『トールキン小品集』『サンタ・クロースからの手紙』などがある。
瀬田貞二
1916~1979年。現東京都文京区に生まれる。東京帝国大学国文科卒業。第二次世界大戦後、東京府立第三中学校に復職し、教師の傍ら雑誌に児童文学作品を投稿。後、平凡社勤務を経て、児童文学の創作、翻訳、評論の分野で活躍。1959年自宅に瀬田文庫を開き、毎週土曜日の午後に自宅を開放していた。代表的な作品『なんきょくへいったしろ』『あふりかのたいこ』など、再話『かさじぞう』『ふるやのもり』など、翻訳『指輪物語』のほかに『ホビットの冒険』『ナルニア国物語』などがある。
田中明子
1926~2020年。現中華人民共和国山東省の青島市に生まれる。第二次世界大戦勃発のころ、同志社女子専門学校英文科にて学ぶ。終戦後、引き揚げ。慶應義塾大学文学部入学。卒業後は、都立新宿高校の定時制で英語を教える。1950年代半ば、瀬田貞二氏に会う。北極星文庫『この湖にボート禁止』を翻訳。60年代初め、モントリオールで2年を過ごし、ヨーロッパ、エジプト、インドを回って帰国。主な作品として、瀬田氏と共訳の『指輪物語』他、『シルマリルの物語』『トーマス・ケンプの幽霊』『砦』『魔の山』他多数。