1916年、アルバート・アインシュタインはある論文を発表した。星の衝突が起きるとき、その衝突で生じるエネルギーが、時空に〈さざ波〉(重力波)を発生させる。もし、そのさざ波を〈聞く〉ことできれば、宇宙が秘めたさまざまな謎を解き明かすこともできるかもしれない。しかし、地球にとどくさざ波はあまりに小さく、アインシュタインは生きているあいだにこの予言を証明することはできなかった。
それから何年も後、ガビー・ゴンザレスというアルゼンチン生まれの科学者が同じ疑問を抱いた。ガビーとそのチームの仲間たちは、さざ波のかすかな信号を聞くために、あらゆるノイズを予測し取りのぞこうと研究を重ねた。検査、測定、再測定を繰り返し、ある日、鳥の声のような〈さえずり〉を検出。それはふたつのブラックホールが合体したときに放射された時空のさざ波だった! アインシュタインの予言が約100年後の2015年に証明されたのだ。
わたしには特別な才能などありません。ただ好奇心)が旺盛なだけです。
――アルベルト・アインシュタイン
宇宙のすべてを知りたい。そう思うのが人間でしょう。わたしたちはとても好奇心が強いのです。
――ガブリエラ・ゴンザレス
アインシュタインとゴンザレス。ふたりの科学者の好奇心が生んだ、時空をこえた大発見!
パトリシア・バルデス 作
/ サラ・パラシオス 絵
/ いわじょうよしひと 訳
- カテゴリ
- 絵本
- シリーズ名
- ISBN
- 9784566081062
- 税込定価
- 1,870 円
- 発売日
- 2025年01月
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著者プロフィール
パトリシア・バルデス
アメリカの作家、科学者。カリフォルニア大学バークレー校で分子細胞生物学の博士号を取得する。アメリカ国立衛生研究所に勤務。子どもの本を書くことに力を注ぎ、『ドラゴンのお医者さん』(岩崎書店)で初めて絵本を手がける。
サラ・パラシオス
アメリカのイラストレーター。メキシコ出身。サンフランシスコのアカデミー・オブ・アート大学でイラストを学ぶ。モニカ・ブラウン作Marisol McDonald Doesnʼt Matchのイラストを担当し、プーラ・ベルプレ賞でイラストレーター賞を受賞。
いわじょうよしひと
翻訳家。訳書に、『うみべのまちで』(BL出版、産経児童出版文化賞 翻訳作品賞受賞)、『もう ねむる じかん』(岩崎書店)、『ヨシ――3万7千キロをおよいだウミガメのはなし』(あすなろ書房)、『プラスチック星にはなりたくない!』(ひさかたチャイルド)、「魔笛の調べ」シリーズ(評論社)などがある。
担当編集者より
アインシュタインが疑問を抱き、机上で検証し、予言した重力波が、同じ疑問を抱いた現代の科学者たちによって証明されました。時空をこえたタッグを実現させたのは、科学者たちの好奇心。この物語の主人公で、重力波の観測チームの一員だったガビーは今も教壇に立ち、生徒たちに「疑問を持つことの大切さ」を説いているのだそうです。